見た目イケメン、中身キモメン
ーー
彼女が、壁ドンされている!
急いで向かったつもりなのに、遅かった。駐車場つくなりに、男に捕まった彼女が目に入る。
俺の車を壁代わりに、俺だってまだしたことがない恋愛シチュエーションをやる不届き者がいた。
しかもか、彼女の足の間に膝入れている。スカートだからと、かなりぐいぐい。嫌がる彼女。涙目ではないが、身動ぎするさまが第三者視点で見るとかなりグッとーーって。
「……!」
AV観賞気取りでいられる訳がない!
彼女をゲスのおかずにしてなるものか!
あれは俺が直に試してみるから、そこから退け!
との思いを込めた物を投擲。
一刻も早く彼女を助けたいがため、俺は物を投げた。
投げた後、後悔した。
「な、なんだ、これ」
焦燥による『とっさに』とは言え、男のこめかみに、『べちょり』と当ててしまった。黒く酸化し始めたバナナ。だから真空パックに入れておいたのに、ご丁寧に中身だけ出して投げつけ、クリーンヒットさせるとは。
「……!」
男が、バナナを手に取る。
彼女食べかけの、三分の一しか食べていない彼女食べかけの、きっと、晩御飯あとのデザートにしようとし、結局お腹いっぱいで残してしまったであろう彼女食べかけの、彼女が頬張り唾液つけた食べかけの、結構太くていい形をしていた物を“あむり”とした彼女食べかけのバナナを、男が摘まんでーー