見た目イケメン、中身キモメン
「じゃあ、20分前に」
多分は、待ち合わせ時間の話か。
20分前に来るなんて、とんでもない。
絶対、ナンパされる。あなたの吐いた二酸化炭素を取り込みたいとか思う男共にナンパされる。
そんな危険な真似はしないでほしい。
変態は、俺だけで十分なんだ。
首を横に振れば、腕を組まれた。
腕に当たる彼女の『ボヨン』に意識が集中した。『ポヨン』じゃない、『ボヨン』だ。何でそう、無防備なんだ。鉄の白い下着をつけてほしい。会った早々にトイレに行きたくなる。
「あ、今日は寄りたいところがあるんですけど、いいですか?」
地獄の果てでも付き合いたい。いや、このままだと昇天するか。
ついて行けば、宝くじ売り場だった。
かなり意外。俺にとっての一等とは、彼女そのものだから、俺とて来たことはない。
「えっと、看板にキャリーオーバー3億とかあったから。す、数字を選ぶものなんですけど、倉石さんの誕生日でやってみました。三億あれば、倉石さんと温泉旅行行けるなぁって」
窓が近くになくて良かった。
またうっかり身投げして、骨折するところだった。
俺の誕生日を覚えてくれているとは。彼女と会えるだけでバースデーみたいなものなのに、覚えてくれるなんて。
涙しそうになる。見られてはいけないと明後日の方を向けば。
「お、おおおおっ、おめでとうございますうううぅ!一等三億円、大当たりですよおおぉ!」
しまった、ラブホテルが目に止まってしまった!休憩三千円、宿泊八千円まで見てしまったあぁ!凝視しては清純な彼女から不評を買ってしまーーあれ?
「あわ、うわ」
興奮気味の売り場のお姉さんと、狼狽える彼女がそこにいた。