(仮題)アイネクライネ
桜並木を抜けると、川を挟んで西洋モダンな建物が建ち並ぶ通りにでる。
川沿いの橋を渡って、角にある三角屋根が目印の【画廊NOBARA】ーーー
わたしはここの画廊に絵画を出展している、画家、のたまご。
「おはようございまーす!」
入るとすぐに油絵の具のにおいがした。
白い壁にきちんと礼儀正しく並んでる絵画たちが、ここの店主より先に出迎えてくれる。
「おーい!咲良さん!」
お店の奥の茶色い引き戸のドアから、ここの絵画や建物とは似つかわしくない派手な金髪をボサボサにしてめんどくさそうな顔が似合う咲良さんが出てくる、はずなのだが。
「いないのかしら?」