業務時間外の戯れ
「それ、詩織ちゃんがちゃんと教えないからじゃないの?」

「違います。ちゃんと教えてるんですけど、高梨さんがやってくれないんですってば」

昼休みになり、高梨さんは外へ行ってしまった。

お昼はいつも女性社員の先輩と一緒にお弁当を広げている。

バイヤーで唯一わたしの話を聞いてくれる2個上の小湊センパイだけれど、やっぱりわたしの話に聴く耳をもたない。

「わざとじゃない? 詩織ちゃん、からかわれてるんだよ、きっと」

「しおりん、高梨クンのことになるとすぐに顔赤くするね」

「先輩が文句言えばいいじゃないですか」

むすっとしながらわたしはお茶を飲む。

「だってこの仕事はしおりんの担当だもん。頼みますよ、刑部センパイ」

ごちそうさま、というと、小湊先輩は肩をぽんぽんと叩いた。
< 4 / 7 >

この作品をシェア

pagetop