「私は貴方のモノ」【完結】
prologue


俺が彼女を初めて見たのは。


普段は行かないライブ会場だった。



どうしても見たいバンドがいるからって女に連れられて。

VIPルームで見ていた。



目当てのバンドにキャーキャーしてる女達。
それを横目で見つめる。


はあ。
うっせえ。


こいつらが寄って来てるのだって、俺の容姿や財産があるからで。
俺個人でなんか見ていない。

だから、俺もそうやって相手をする。


それがお互い気楽だった。


そんなんだから、ライブも至って興味がなく、女達も目当てのバンドが終えたからか自由に移動していた。
お酒を飲みながら、そろそろ帰ろうか。

そう、思ってた時だった。


一人の女の声が耳に止まる。


その声はとっても澄んでいて、思わず俺はそいつが見える場所まで移動していた。
< 1 / 219 >

この作品をシェア

pagetop