「私は貴方のモノ」【完結】
「美味しい」
「…ん」
こっちを向いて、それだけ告げるとまたスプーンでシャーベットを掬い口に含む。
そんなアイス一つで嬉しそうな顔するなら安いもんだな。
「今日も出かけてくるから」
「あ、うん」
きっと、陽子から連絡が来てるのだろう。
起きてから携帯を見てないから知らないけど。
あまりにも素直にタエが頷くモノだから、少しだけ意地悪をしたくなった。
従順になれって言ったのに、矛盾している。
だけど、タエの反応は面白いから。
「行くな、って言ったら行くのやめるけど?」
「えっ!?」
明らかに動揺したタエを見て、喉が鳴る。
定期的にスプーンを口に運んでいた手が止まった。
目を泳がせながら、タエは
「いや、えと、大丈夫です」
そう答えた。
それから、またシャーベットを口に含む。
「……ふーん」
その反応が面白くない。
タエと距離を詰めると、俺は尋ねた。