「私は貴方のモノ」【完結】
『もしもし』
「今どこ?」
『えっと、家』
「迎えに行く」
『え!?』
「今日、食事行くんじゃねえの?」
『いや、そうだけどまだ準備が…』
「何分」
『さ、30分』
「わかった。適当に時間潰す」
『それじゃ、家で待ちますか』
「……」
『メイクしててもいいなら、だけど』
「普段からそんなわけ?お前は簡単に男部屋に上げるの?」
『そういうわけじゃ…』
「まあ、いいや。住所教えて」
陽子がそんな女だろうと、別にどうでもいい。
手を出すつもりなんて更々ないし。
陽子が電話越しに言う住所をナビに打ち込んで行く。
通話を終えた後、その住所へと車を走らせた。
会うのは誰でもよかった。
気を紛らわせられるなら。
それが、タエの友達であろうとも。