「私は貴方のモノ」【完結】
desire to monopolize
遠くで鳴る着信音。
それで、起こされた俺は薄らと目を開ける。
軽く寝ぼけながら、携帯はどこに置いたかと思考を巡らせた。
昨日、帰宅して鍵と一緒に投げたんだっけか。
カーテンの隙間から光が漏れている。
朝か、昼か。
したら、電話の相手は梓とかか。
来ないから連絡して来たのだろう。
体を起こした俺は、部屋が自棄に静かな事に気付いた。
辺りを見渡す。
寝室の扉は開いていた。
その奥にいる筈の、タエがいない。
すぐに立ち上がると、寝室へと向かう。
だけど、そこはもぬけの殻だ。
……タエがいない?
“アキラの元から逃げない”
そうやって、凛とした瞳で俺に言ったタエ。
拳をギリギリと握り締める。
爪が食い込んで、きっと血だって出てるだろう。
でも、そんなのどうでもいい。