「私は貴方のモノ」【完結】
「言ったろ?俺から逃げたいなら、殺して行けって。
だから、お前に拒否権はない。
お前は俺の部屋で俺の帰りを待ってたらいいんだ」
「………」
「お前は、俺の。俺だけのモノだ」
ぎゅうっとタエの事を強く抱き締めると、胸が何故か痛んだ。
タエから返事はない。
「返事は?」
「……はい」
「勝手に出たら、わかるよな?」
「……」
そう言うと、タエは怯えた様な顔をする。
俺から視線を逸らすと、俯く。
何をされるのかなんて、考えもつかないだろう。
きっとタエが想像してる以上に酷い事かも知れない。
もしも、タエが俺を裏切ってここから出て行って。
例えば、あの男にでも会ったなら。
何をするか、俺自身にも検討つかない。
「…俺が怖いか」
「……」
「お前の心象とか、どうでもいい。
俺はお前を手放す気は全くない」
俺を嫌いだって、関係ないんだ。
俺が好きだから。
手放したくないから。