「私は貴方のモノ」【完結】
風呂に入った俺は、上半身裸のまま洋服を探しに行く。
ポタポタと濡れた髪から水滴が垂れる。
タエがいる寝室に入った時、タエが顔をふいっと逸らした。
「…何、顔背けてんの?」
クローゼットからタエの方へ方向転換すると、顔を掴む。
少しだけ紅くなった頬。
……は?まさか、裸に照れてるのか?
今更?
緩々と口角が上がって行く。
「さっきまで俺が欲しいって言ってたくせにな?」
「……っ」
そう言うと、タエはハッとして息を呑む。
それから潤んだ瞳で恥ずかしさを隠すように俺を睨みつけた。
……。
「……はあ」
無自覚なんだよな、これ。
ぎゅうっと背中に腕を回して抱き締めると、タエが体を強張らせているのが分かった。
「あー、抱きてえ」
心の中で呟いたと思った声は、どうやら言葉として口から出ていたらしい。
そう言ったと同時にタエの体がびくっとなったから。