「私は貴方のモノ」【完結】

「お前、何か出してんの?誘惑するオーラとか」

「え?」



キョトンとするタエに、渇いた笑みが漏れた。
本当に無自覚、勘弁して欲しいわ。



「……はあ。飯は?買って来た」

「…食べる」



そ。ならタエを抱くのはその後だ。
いらないって言ったのなら、今すぐ寝室に連れてって抱いたけど。



「ん」


テーブルの上にスーパーの袋を置くと、俺はシャーベットの入った袋を渡す。
素直に受け取ったタエは、不思議そうな顔で中身を確認すると驚いていた。


それから、ぎゅっと袋の持ち手を握る。



「ありがと」

「……お礼ならキスの方がいいけど?」

「えっ!?」



そう言ってやったら、みるみるうちにタエの顔が赤くなっていって俺は笑った。
からかいがいがあり過ぎだろ。お前は。


笑いながらちゅっと一度キスをする。
そっと離れてからタエを見ると、お決まりの顔をしていた。


……飯食い終るまでは。
せめてシャーベット食べ終わるまでは我慢してやろうと思ったのに。


何でそんな潤んだ瞳で俺を見上げるんだよ。

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