「私は貴方のモノ」【完結】



「…タエ」


次に続けようとした言葉は、ピンポンというインターホンの音に掻き消された。


思わず、チッという舌打ちが出たけど。
……掻き消されてよかったかもしれない。


宅配便の男に対応しながら、俺はぽつりと思った。




その後に言おうと思った言葉。
それは。




―――――タエ、俺を好きになれ。





こんな言葉だったからだ。

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