「私は貴方のモノ」【完結】
「……ここでもいいんだけどな、別に。
一応、もしもの為に」
陽子が来るかもしれないから。
そんな事は言えない。
だから、言葉を濁しながらそう言うけどタエは意味がわかってないようだ。
首を傾げている。
「明日から荷造りして」
だけど俺がそう言うと、タエは素直に頷いた。
タエは俺が外で何をしていようとも、何も聞こうとはしなかった。
俺もあまり話そうとはしなかったからってのもあるが。
「腹減った」
「待っててね、もう出来るから」
「ん」
出された料理はこないだ買って来た料理本から決めたらしい。
最初こそ、うまく出来てなかったけど本当に上達したと思う。
「……うま」
「本当?」
「ああ」
完食された器を見て、タエはどこか嬉しそうだった。
そんなタエが愛しくて、片付けようとしてるところを邪魔した。