「私は貴方のモノ」【完結】
I don't want to notice
薄く笑みを乗せて、
「…さあ?」
そうやって俺はタエに言った。
納得なんか出来ないって顔をしている。
でも、タエが納得する必要はないんだ。
「ともかく、俺はお前を離すつもりなんてない。
だから、諦めろ」
そうだ、諦めろ。
お前は俺のモノ、だ。
一度、タエの唇にキスをすると立ち上がると、まだ俯くタエに声をかける。
「出かけるぞ」
タエはのそのそと、洋服を着ている。
それを見て、俺は再度自分のパーカーを投げた。
目を真ん丸にしながらタエはそのパーカーを見ている。
顔は相変わらず、仏頂面だったけどそれを着るタエを見て、思わず頬が緩んだ。
オーバーオールに、だぼだぼの俺のパーカー。
それは。
どこからどう見ても、だらしない格好だったけど。
でも、これでタエが俺のモノかもしれない。
そう思ったら、何かが満たされた様な気がしたんだ。