「私は貴方のモノ」【完結】


翌日、俺は大学に到着してすぐに陽子を探した。
だけど、陽子は何故かいなかった。


……いない筈がない。
俺と話せる場所といえば、電話か大学でしかない。


電話はほとんど出ないし、そうすれば大学に来るしかない。



それとも、他に話せる場所を見付けた?
タケルか?8か?


考えながら大学内を歩く。
そして、その思考に辿り着いた。



まさか。
……家を知ったとか?



そう思いついた瞬間に俺は走り出す。
すぐに車に乗り込んで、自宅へと引き返した。



苛立ちと、どこか焦りの様な気持ちが俺を支配する。
到着した俺は急いで部屋へと向かった。


「多恵っ!!!」


目的の階に着いてすぐに聞こえた声。―――陽子の声。


ス―ーッと心が冷えて行く。
自棄に冷静になっている自分がいた。
< 187 / 219 >

この作品をシェア

pagetop