「私は貴方のモノ」【完結】
翌日、俺は大学に到着してすぐに陽子を探した。
だけど、陽子は何故かいなかった。
……いない筈がない。
俺と話せる場所といえば、電話か大学でしかない。
電話はほとんど出ないし、そうすれば大学に来るしかない。
それとも、他に話せる場所を見付けた?
タケルか?8か?
考えながら大学内を歩く。
そして、その思考に辿り着いた。
まさか。
……家を知ったとか?
そう思いついた瞬間に俺は走り出す。
すぐに車に乗り込んで、自宅へと引き返した。
苛立ちと、どこか焦りの様な気持ちが俺を支配する。
到着した俺は急いで部屋へと向かった。
「多恵っ!!!」
目的の階に着いてすぐに聞こえた声。―――陽子の声。
ス―ーッと心が冷えて行く。
自棄に冷静になっている自分がいた。