「私は貴方のモノ」【完結】
「……何してるんだ」
低い声で、そう呟く。
扉の前にはあの男と、陽子が立っていた。
俺は二人と扉の間に立つとガンっと思い切り扉を蹴りつけた。
「……」
二人は俺を鋭い目つきで睨んでいるが、タエがどうしてるか。そっちの方が俺は気になる。
だから、すぐに中に入って鍵を閉めるとタエを探す。
寝室にタエはいた。
ベッドの上で小さくなっている姿を見て、ホッとした。
「大丈夫か」
そう声をかけると、タエは震えた声を出す。
「…あ、おい、にぃとよう、こは」
「タエは心配するな」
怖がらせて、すまない。
すぐに二人をここから遠ざけるから。
ぎゅっとタエを安心させる様に抱き締めると、微笑みかける。
だけど、タエの顔はずっと強張ったままだった。