「私は貴方のモノ」【完結】
「……絶対扉は開けるなよ。何があっても」
「うん」
「…放したくない。お前を手放す気なんてないんだ、俺には」
「……うん」
「悪い、少しだけ出て来る。ちょっとだけ待ってろ。
すぐに終わらせるから」
「………」
頭を撫でながらそう言うと、俺は玄関へと向かった。
それから、ドアノブを捻って外に出る。
二人はひそひそと何か話してる様だったけど、俺に気付くと身構えた。
「どういうつもりだ」
「多恵に会いに来た」
「……」
「彬さん、多恵を…」
そう言う陽子の首を俺は掴むと、壁に押し当てた。
苛立ちが限界を通り越していた。
怒りも何も感じない。
陽子の首に指が食い込むけど、何も感じない。