「私は貴方のモノ」【完結】
あんなにタエに会おうとしてるって事は。
あいつはタエの事が好きなのだろうか。
タエの頬をぐっと掴む。
力の加減がわからなくて、タエの頬に爪が食い込んだ。
…そんな心配そうな顔で、あいつの事考えるなよ。
「…なあ、葵ってのはタエの事が好きなのか?」
「え…?」
目をぱちくりとさせるタエ。
首を振ろうとするけど、俺の手が食い込んでいて動かせない。
眉を顰めながらタエは俺の顔を見つめる。
「まあ、関係ないけど。
タエは俺のモノだし」
そう、上辺だけの言葉を吐き出す。
俺のモノだと思っているのに、それは酷く不安定だ。