「私は貴方のモノ」【完結】
I knew the truth.
タエが眠りに就いたのを確認すると、俺はタエを起こさない様に布団からそっと抜け出る。
スヤスヤと眠るタエの寝顔を見つめながら、どうしようもなく胸が痛んだ。
そして、苦笑した。
どこまで俺はタエが好きなのだろうか。
自覚した途端、もうこの気持ちは際限なく溢れて行く。
携帯には数件の着信があった。
着信一覧に陽子の名前を見て、眉根を寄せる。
あんな事をされても、電話をかけてくるとか。
根性あるというか。なんというか。
……どうせ、ここを引っ越しても同じだろう。
きっとまた見付けられて同じ様に訪問して来る筈だ。
それなら、ちゃんと話すしかない。
好きだから手放す気はないと。
俺は出かける準備をして外に出ると、駐車場まで向かう。
それから、運転席に座ると電話をかけた。
陽子に。
タエに会話は聞かれたくなかった。
すぐに電話は繋がった。