「私は貴方のモノ」【完結】
「金で、買ったって。
それで多恵を縛ってていいはずないだろ!」
ふらついてるそいつは、タエの事を見ると顔を歪める。
「多恵…そんなに痩せて、色も白くなって…。
なあ、それでいいのかよ、お前は」
ぎゅうっとタエの腕を掴んだ。
俺が初めてタエを抱いた時とは比べ物にならないぐらい、タエは痩せた。
きっと俺がいない時は何も口にしないのだろう。
それは想像がついていた。
だから、俺もなるべく家にいる様にしてたんだ。
華奢になったその腕を掴んでも、俺の中にタエを手放すという選択肢はない。
「多恵は?
なあ、本当に…幸せなのかよ…」
その問いに俺の後ろから、か細い声でタエが答えた。
「…葵兄。…陽子。
私は…幸せだよ?」
陽子はそれを聞いて、俯く。
それからゆっくりと話し出した。