「私は貴方のモノ」【完結】


「………あ、い、し…」

「何度も言わせんな。
お前に出逢って…俺は他の女なんかどうでもよくなったんだ」

「……」

「だから、タエの気持ちもどうでもよかったんだ。
俺が愛してたから。手放したくなかった」

「……」

「タエが誰を好きでいようとも、俺は手放すつもりなんてこれっぽっちもなかった」



視線を逸らさずにタエは、俺の告白を黙って聞いていた。



「…っ、私、もアキラを、愛してる、のに」


涙を拭う事もせずに、タエがそう言ったけど。


「違う、そう思ってただけだ。思わせる様に閉じ込めてただけだ」


ちゃんと否定してやる。



それにタエの顔が歪む。
だけど、信じる事なんて出来ない。


そうさせたのは俺で、それは見事なまでにタエの心を塗り変えていたから。



キッと俺を睨みつけたタエが俺に手を伸ばすと、顔を近付ける。


は?なんだ?
何しようと…。



そう思ったと同時に、チクリと首元が痛む。


「っ、!?」

< 202 / 219 >

この作品をシェア

pagetop