「私は貴方のモノ」【完結】
……不満げだな。
何が不満なんだよ?
イライラしながらタエの顔を見ると、俺の視線に気付いたタエがこっちを見て怯む。
少しだけ後ろに下がった頭を強引に引き寄せる。
それから、自分の唇を重ねた。
ちゅっというリップ音。
更にタエと俺の吐息が車内を支配した。
息をつく暇もない程にタエの唇に吸いつくと、苦しくなって来たのか俺の胸をドンっとタエが叩く。
抵抗するタエが面白くて、腕を取ると動きを封じる。
啄ばむキスをした後、タエは魅せられた様に顔を上気させ、ぽーっとしていた。
さっきの不満そうな顔はどこへやら。
思わず、くくっと笑いが漏れる。
「はっ、俺が欲しくなった?」
そう言うと、タエがハッとして我に返り顔を顰めながら視線を逸らした。
図星、か。
いい感じに俺に染まって来てるじゃないか。
だけど、まだまだだ。
お前は俺だけ見てたらいい。
少しだけイライラがなくなった俺は、車を発進させた。