「私は貴方のモノ」【完結】
それ、ご飯じゃねえだろが。
お前は一食をアイスで終わらせてるのかよ。
……まあ、何も食わねえって言うよりかはマシか。
仕方ねえ。
俺は近くを通った店員を呼び止めてオレンジシャーベットを注文した。
頼んだのはそれだけ。
俺はさっき食べたし、腹減ってない。
注文を終えた後、タエはちらっとこっちを見る。
それから、遠慮がちに尋ねてきた。
「何も、食べないんですか?」
「ああ、さっき食った」
「……」
そういえば、気になってたんだが。
こいつ、俺に敬語だよな?
何でだ?
それに名前、呼ばれた事がねえ。
知ってるのか?
「つか、敬語やめてくんない?
それと、アキラ。俺の名前。知ってるかわかんねえけど」
そう言うと、タエは視線を泳がして口を開いた。
「…無理、です」
は?
無理って何?
お前に拒否権とかないんだけど。