「私は貴方のモノ」【完結】



さっさと駐車場に向かっていると、タエが慌てて俺に声をかける。



「あの」


ああ、めんどくせえ。
何だってんだよ。


「…何?」


嫌悪感丸出しでそう返すと、「…お金」と俯きながらタエが言った。


……お金?
今更?



「いらねえし。つか、お前金ねえだろ?」



逆に何でタエが支払いすると思ったわけ?
それがわかんねえよ、俺は。


ぎゅうっと、俺のパーカーの裾を握り締めたタエは言葉を噤む。


ペット、なんだよ。タエは。


そっとタエの髪の毛を一束掬うと、素っ気なく告げた。


「それにペットに飯を食わせるのも、飼い主の義務だろ」



手にした髪の毛に口付けを落とすと、俺はくるっと体を反転させて車へと向かった。


運転席に乗り込み、タエがシートベルトしたのを確認して車を発進させる。
< 41 / 219 >

この作品をシェア

pagetop