「私は貴方のモノ」【完結】
さっさと駐車場に向かっていると、タエが慌てて俺に声をかける。
「あの」
ああ、めんどくせえ。
何だってんだよ。
「…何?」
嫌悪感丸出しでそう返すと、「…お金」と俯きながらタエが言った。
……お金?
今更?
「いらねえし。つか、お前金ねえだろ?」
逆に何でタエが支払いすると思ったわけ?
それがわかんねえよ、俺は。
ぎゅうっと、俺のパーカーの裾を握り締めたタエは言葉を噤む。
ペット、なんだよ。タエは。
そっとタエの髪の毛を一束掬うと、素っ気なく告げた。
「それにペットに飯を食わせるのも、飼い主の義務だろ」
手にした髪の毛に口付けを落とすと、俺はくるっと体を反転させて車へと向かった。
運転席に乗り込み、タエがシートベルトしたのを確認して車を発進させる。