「私は貴方のモノ」【完結】


「ねえ」

「ん?」


時計をつけ替えながら答えると、タエの言葉に思わず体が固まった。


「バイトとかしたらダメ?」



……は?
こいつ、何を言ってるわけ?



カチっと時計を嵌めると、俺はタエの方に体を向ける。
俺が近付くと、あからさまに体を強張らせていた。


そんなタエの目の前に座ると、視線を合わせた。
不安そうな顔で俺を見つめるタエ。


意味不明なタエの質問に、腹立ったけど。
だけど、そんな顔で見られたら強い口調では言えないじゃねえか。


少しだけ抑えて俺は口を開く。



「…何で?」

「いや、洋服とか買いたいし…自分で稼いだりしたいし」

「お金が欲しいなら俺がやる。
何か欲しいなら買ってやる。
お前は俺と一緒じゃなきゃ外に出たらダメだ」

「……どうして、外に出ちゃダメなの?」

「逃げるから」


きゅっと唇を噛んだタエは、眉を顰めて。


「…ペット、だから?」


そう、言った。
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