「私は貴方のモノ」【完結】
どんな理由があったにしろ、自分を売った両親。
そんな二人に会いたいだなんて思えないだろう。
当分は。
いつか会いたい、そう願ってもその時は俺の手の中にいるわけだから。
自由に会わす事はさせない。
いくらでも両親を憎ませてやる。
そうして、俺は彼女を金で買った。
きっと、それを報告したであろう翌日。
タエは大学に来ていなかった。
…ショックを受けてるってわけね。
その姿を想像して、喉が鳴る。
これから、もっともっと歪ませてやるから。
その日の夜。
タエの家に行くと、強引に俺はタエの部屋の前へと向かった。
後ろで母親が不安そうに俺を見つめている。
ドンドンっと乱暴に扉を叩くと
「おい、いるんだろ?出て来い」
そう言うが、一切反応がない。
…いるはずだ。部屋の中で気配がする。
簡単に開けるとは思わなかったが、無反応は腹が立つな。