「私は貴方のモノ」【完結】
I don't know.
果てた後、俺はシャツに腕を通す。
タエは俺のパーカーだけを羽織り、裾を引っ張って体を隠している。
……遅刻だな。
俺は腕時計に視線を落とすと、一度息をつく。
別に構いやしねえけど。
このままタエをもう一度抱いた方がいい。
俺ってそんなに性欲あったわけじゃねえんだけどな。
俺がシャツのボタンを留めている時。
「…逃げないよ」
そんなタエの声が聞こえて、思わず驚いた声を出してしまった。
……逃げない?
それってどういう意味だ?
まじまじとタエを見つめると、タエも負けじと視線を合わせて来る。
こんなに真剣なタエ、初めてだ。
「アキラの元から逃げない」
言葉が出なかった。
また形容しがたい感情が俺の中を駆け巡る。
……なんなんだよ、これは。