「私は貴方のモノ」【完結】
女ってのは、本当にキャンキャンと五月蠅い。
……そういえば。

タエはほとんど喋らないな。


たまに大学で見かけた時、一緒にいるヤツと結構喋ってると思ったんだが。


まあ、うるさいよりは静かな方がいい。
だから、気にする必要はないか。


駐車場に車を停めると、俺はよく行くクラブ『8』に足を踏み入れた。


俺はここのvipルーム、常連。
エントランスの男は、俺に気付くと頭を下げる。


「藤沢さん、こんばんは。
梓さん、藤沢さんが来ないから暴れてますよ。助けて下さい」


くくっと全く困ってない顔で、楽しそうに笑うその男。
俺はめんどくせえと顔を顰めながら、適当に返事をした。


心臓に響く程の大音量。
延々とHOUSEが流れる箱。
DJに合わせて、踊る人達。


全く、うるせえ。
けど、昔から通っている所為か、うるさいと思いつつも足を運んでしまう。

< 55 / 219 >

この作品をシェア

pagetop