「私は貴方のモノ」【完結】
……タエは何しているんだろうか。
俺のいない部屋で、ただ一人。
風呂に入って、飯でも食っただろうか。
また食ってねえんだろうな。
タエの事だから。
食わねえから、てっきり反抗してるんだと思ってたけど。
“アキラの元から逃げない”
芯の通った瞳だった。
俺だけを見据えて。
そして、ハッキリと言っていた。
……意味、わかんね。
それに、俺自身の気持ちもよくわかんねえ。
ぐいっとグラスの酒を飲み干すと、並々に注ぐ。
そして、また一気に飲んだ。
アルコール量は増えて行くのに、さっぱり酔えない。
「あっきら~!連れて来たよお?」
甘い声を出しながら、梓が俺の元へと女を連れて来る。
俺の横にその女を座らせると、さっさとフロアへと向かって行った。
めんどくせえな。
置いてくなよ。連れてけ。
俺が黙っていると、その女が俺の方を見た。