「私は貴方のモノ」【完結】

「……で?」

「え?」


トンっとグラスを机の上に置くと、俺は一言呟く。
目をぱちくりとさせた女は、太ももを滑らせていた手を止めて俺を見た。



「……キスでもすれば満足?」

「……」

「それとも抱いてやる?」

「っ!」



眉を顰めた彼女の、頭の後ろに手を回すと強引にその唇を奪った。
何度も何度も角度を変えては、その唇を貪る。


「っ、」



ショウのプレイが始まったんだろうか。

フロアの歓声がここまで響く。



何度もキスをした後、その女をドンっと突き飛ばした。
きゃ、と小さく悲鳴が聞こえて、椅子から転げ落ちる女。



すくっと立ち上がると、俺はその女を無視してvipルームから出て行った。
後ろから何か聞こえた気がするけど、どうでもいい。



無性に、イライラするのはどうしてだ。

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