「私は貴方のモノ」【完結】
気持ちよさそうに寝やがって。
そっと、その髪の毛に腕を伸ばす。
静かに上下させて、暫く俺はその感触を楽しんでいた。
さっきまで、あんなに苛立っていたのに。
どっか吹き飛んだ。
これは、タエのお陰なのか?
それとも、タエの所為なのか?
……。
起きたら好きでもない男に抱かれるんだ。
それを幸せと思うわけがない。
「……タエ、どこにも行くな」
お前は俺のモノ、だから。
だから。
どこにも行くな。
俺の傍にずっといろ。
また、髪の毛を撫でた時だ。
俺の携帯が震える。
「……はあ」
眉根を寄せて、俺はポケットから携帯を取り出した。