「私は貴方のモノ」【完結】

その相手はもちろん、梓。


音を立てない様に、寝室から出ると扉を閉める。
それから、ずっと震える携帯の通話ボタンを押した。



「もしも…」

『彬!?帰っちゃったの!?』

「……ああ」

『何でっ!てか、ユリ泣いてたんだけど、何かしたの?』


ユリ、って言うのか。
梓は少しだけ酔いが醒めたのか、さっきよりか口調がしっかりしている。



「……」

『ユリ、乙女なんだからね?』

「……悪かったって伝えておいて」

『うん、伝えておくけど。
……彬なんか、少し変だよ?何かあったの?
ほら、今日もあのダサい子と一緒にいたし』

「……それは関係ない。
それに何もない」

『そう?あ、ショウどうだった?話せた?
彬の事気に入ってたよ!』

「そうか」


気に入ってたのはお前の事だろうよ。
別に俺の事なんてどうでもいいと思うんだが。

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