「私は貴方のモノ」【完結】
「……」
いいように使って、抱いて、適当にあしらうつもりだったのに、気付けばタエの事ばかり考えていた。
苦痛に歪む顔が楽しかったのは、最初だけだ。
泣き喚くタエが面白くて、わざとそういう顔をさせた。
だけど、沸々と何か。
何かが俺の底から湧き出て来る感じがして、変にざわついた。
いちいちイライラするくせに、どうしても目を離す事が出来なかった。
「……ちっ」
俺はペットボトルを机に置くと、寝室の扉を開ける。
ゆっくりと上下する布団。
それを見ながら、口角が上がっていく自分に嘲笑が漏れた。
その感情に当てはまる言葉が浮かんだ。
だけど、すぐにそれを打ち消すと俺は布団に潜り込む。
余程疲れていたのか、起きる気配のないタエ。
目の前で気持ち良さそうに寝息を立てていた。
眉を下げて微笑むと、俺はその唇に軽くキスをした。
触れるだけの、キスを。
そして、ゆっくりと瞼を閉じた。