我が家のルール

深呼吸をして、ゆっくり寝室へ向かった。

どんなに静かに歩いても、私が来ていることは微かな音で彼に伝わる。

それでも、ゆっくり静かに向かった。

カラカラカラ……

スライド式の扉を30センチほど開けると、彼がベッドの左側に寝ているのが見えた。

眠る時はいつも真っ暗にしているが、私が来るのを想定してか、常夜灯が点されている。

十分な明るさがないため、顔は確認できない。

だけど、眠っていないのは呼吸音でわかる。

私は部屋の中には入らずに、30センチの隙間から、小さく告げた。

「私、今日はリビングで寝るね。おやすみ」

もうこれ以上、醜い私を見せたくないの……。

再び静かに扉をスライドさせ、閉める。

テレビのついていないリビングはやけに静かで居心地が悪い。

今夜はソファーだ。

畳んで置いてあるブランケットを持ち上げた、その時だった。

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