我が家のルール
「ケンカしたって、寝る時は一緒だって決めただろ。一人で寝るなんて許さない」
この近距離にして、やや大きな声だった。
おかげで部屋と私の耳に響いて、鼓膜と一緒に心まで震えた。
「でも」
私たち、こんなにヒドい状態なのに。
「うるさい。“一緒に寝る”。それが“我が家のルール”でしょ」
彼の口調が優しくなると、私の張り詰めていた気持ちが一気に緩んで、同時に涙腺も緩んだ。
目の奥から涙が溢れてきて、怒りの裏に隠れていた愛情も一気に出てきて、彼の体にしがみつく。
「うっ……うぇーん……」
「よしよし。ごめんね、連絡もできなくて」
抱き返してくれることに、大きく安心した。
「私もごめーん。怒ってごめーん。ヒドいこといっぱい言ったー」
「ヒドくないよ。全部ほんとのことだし」
「お皿割ってごめーん。料理捨てちゃってごめーん」
「うん。あれはダメだったね」