キスは媚薬 Ⅱ
初心な彼女の唇に何度も触れ、俺に夢中
になればいいと思っていたのに、我を忘
れ彼女とのキスに夢中になっていたのは
俺だった。
触れる度に彼女がほしくなる衝動を抑え
我慢していたが、彼女の気持ちを聞き平
静を装うのも限界だった。
彼女と目が合えば自然と唇に目がいく。
プルっとした唇に触れたい。
人目が無ければ、彼女を腕に抱きしめキ
スしている俺が浮かび上がる。
彼女の唇に触れキスを重ねたいのに、彼
女の唇に溺れ平静でいられないから何日
も、触れずにいると仕事がまともに手に
つかない。
10代のガキじゃあるまいし、欲情に身を
任せて彼女を抱きたくない。大人の男と
して彼女と抱き合いたいのに自信が持て
ない。
だから、彼女と距離をとってしまってい
た。
給湯室での出来事があるからか、彼女の
表情が暗いのはわかっている。
意味深な言葉で振り回しているというこ
とをわかっているんだ。
だか、どうすればいい⁈
今までのように触れる自信がないのだか
ら、きっと触れたら制御できない俺は彼
女を壊してしまう。
好きだと自覚して、触れるのが怖いと思
うなんて…初めてだ。