恋するLilyは嘘をつく。



「じゃあ、もう戻るわー。」






『ばいばーい!』








あぁ〜。昼休みって短いー!
もう、次の授業始まっちゃう!!









次は、英語かー。英語〜、英語〜。
予習はバッチリだぜ!!









ガサガサ、ガサガサガサガサ、、、











あ、れ?








教科書ないーー!!!
マジで!?






「…………。」








そうだ、隣のクラスに借りに…








ガラガラッ






「Hello、everyone!授業始めますよー!教科書、前回の続きから開いて〜。」








あちゃー。アウトー!!






右隣は休み。
左隣は野崎くん…
……見せてなんて言えない。









もう、いいや!幸い1番後ろだし、前はタジーだし見えないでしょ!
当てられなきゃ大丈夫!
なんとか1時間やり過ごそう!おー!









ガタガタッ












え?…えぇ!?









野崎くんが机を寄せてくれている。










…教科書忘れたのに気づいてくれたの?








「あら?野崎くんどうかしましたか?」









「名波さんが教科書を忘れてしまったようなので。」








「あらそうなの?じゃあ、その教科書を忘れてしまった名波さん、次から読んでもらえるかな?」







『は、はい!』







スッと教科書を差し出してくれた。









『He is〜〜〜……』



「はーい。名波さん、ありがとうー。」











コソコソ
『野崎くん、ありがとう!』










「…………。」
ふんっ。












何も言わずに窓の外に目を移してしまった。










キーンコーンカーンコーン

そのまま一言もしゃべらず英語の授業は終わってしまった。








『の、野崎くん!本当にありがとう!
助かったよ!!』








「…あぁ。でも、俺のせいで当てられちゃったけどな。」




え?



ツカツカツカ…

それだけ言って教室を出て行ってしまった。










今……







今、しゃべったぁーーーー!!










『ふーーーーーゆーーーーーぅ!!!』








キーンッ
「何よ、そんな大きな声出してっ!」








『どどどどどうしよう!今、私、野崎くんとしゃべったのーー!!』







「おぉ!よかったじゃん!進歩進歩。」









はぁー!幸せっ(泣)






何も言ってないのに教科書を忘れたことに気づいてくれて、しかも私が100%悪いのに当てられたことまで気にしてくれてたなんて!
やっぱり野崎くんはすごく優しくていい人だって確信した。







「へぇ〜。あいつ、いいところあるじゃん。」





『でしょ、でしょ、でしょ!!』







よしっ!!これからも名波梨々子、めげずに頑張りまっす!!!




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