恋するLilyは嘘をつく。
食べながらもずーっとさっきのショーの話をしてた。
こんなにこの話題で盛り上がれる人は初めてだ。
「こんなに話が合う人は初めてだな。」
え!同じこと思ってくれてたんだ。
『私も!なかなかいないよね!』
「うん。しかも、年間パス持ってる人なんてそうそういない。」
本当に奇跡だよー!
「そろそろ行く?」
『うん!』
レジへと向かった。
すると、
「じゃあ、ここは俺が!」
えっ!
『えぇ!だ、だめだよ!ちゃんと払うから!!』
急いで財布を取り出す。
「まぁまぁ。せっかくだからかっこいい印象残したいじゃん!だから、今日のところは出させてよ!」
『いや、でもそん「じゃあ、これでお願いします。」
野崎くんは私を遮ってお会計をすませてしまった。
「大丈夫!俺、バイトしてるからさ!」
うーー。
『…じゃあ、今日はお言葉に甘えさせてらいただきます!ありがとう!ご馳走様です!!』
ペコッ
「いえいえ!本の邪魔して、強引についてきちゃったから、お礼!」
『そんな、邪魔だなんて!おかげで私も楽しいから!!』
「本当!?よかった〜!じゃあ、こっちから順番に回ろっか!」
『うん!』
野崎くんは、余程ホッとしたのか今日1番の笑顔を見せた。
それから、ゆっくり見ながら館内を進んで行った。
今まで1人の方がいいって思ってた。
誰にも邪魔されないでゆっくり見ていたかったから。
けど、今日が今まで1番楽しい。
話も合って、何より回るペースも合う。
あ、アザラシ!
私はアザラシが1番好き。
ポテッとしたフォルムで、なんかのん気っていうか。見てて落ち着く。
この水族館はアザラシの前にベンチがある。私はよくここでボーッとアザラシを眺めている。
「ここ、座らない?」
『うん!』
さすが!気が効く!
『私ね、アザラシが1番好きなの。よくこのベンチでボーッと見てるの。』
「ここでボーッとしたくなる気持ちはわかるなー。落ち着くっていうか、心が浄化される感じ。」
『そうなの!たまにさ、陸に上がる時に勢い余って陸でクルクル回ってるの!それが堪らなく可愛い!!』
「わかるわかる!なんか間抜けで、愛すべきバカって感じだよな(笑)」
『アハハハ!愛すべきバカって(笑)』