恋するLilyは嘘をつく。



駅に着くと、とても賑わっていた。
今年はクリスマス当日が平日だからね。
その直前の日曜日ともなれば当たり前か。





やっぱりカップルが多い。





私はイルカのオブジェの前に15分前に着いてしまった。




ちょっと早すぎたかな〜。




ドキドキする。
この前より緊張度がヤバい!
ふぅー。深呼吸、深呼吸。








「絵梨子ちゃん!」




野崎くんが手を振りながら、こちらへ走ってくる。




あはは!そんなに走らなくても!
なんだか、かわいいな〜。





日曜日の野崎くんはオシャレだ。
学校の時と違って、髪型もちゃんとセットされてる。顔がしっかり見える。
やっぱりかっいいー♡







はぁ…はぁ…


「ごめんね、待たせちゃって!」





『ううん!私が早く着きすぎちゃっただけだよ!だって、まだ10分前だし!そんなに走らなくても大丈夫だったのに(笑)』






「そりゃ、待ってる姿見たら走っちゃうよ!よし!行こっか!」



『ふふっ。うん!!』







館内はもっと人で溢れかえっていた。



「さすがに今日はいつもより人が多いなー。今週、クリスマスだからか。」












クリスマスイベントでは、館内の飾り付けがクリスマス仕様になってたり、飼育員さんがサンタの格好でエサやりをしていたりといつも違う水族館が楽しめる。








『飼育員さんがサンタの格好してると、いつもと同じエサなのになんか特別なものを貰ってるように見えるね(笑)』





「確かに(笑)」








そして、このクリスマスイベントのメインはイワシ達!


私達は少し早めにイワシの水槽の前に移動した。






「床に座る感じなんだね〜。スカート大丈夫??踏まれないように気をつけてね!」






私としたことが!なんでこんな日に白いスカート着てきちゃったんだ!




『全然平気!ありがとう!』





続々と人が集まってきて、かなりの密集状態になってきた。




「もう少しこっち来たら?」






そう野崎くんが言う。

そんなに寄ったら肩が触れてしまう!





ピタッ


ど、どうしよう!
触れてる左肩が熱い。
心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかってぐらい、バクバクしている。








始まりの合図の放送が入った。



「「オォーー!」」




大群で右へ左へ動いていく。
そして、メインのクリスマスツリー。
イワシ達が上へと巻き上がっていく姿は本当にクリスマスツリーのように見えた。







『す、すごい…。綺麗……。』







「では、頑張ってくれたイワシ達に、大きな拍手をお願いしまーす!」

パチパチパチパチ……




終わっちゃった〜。

しかし、あんまり集中できなかったな。
肩が気になりすぎて。






「すごかったね!面白いな、イワシ!
じゃあ次、行こっか!はい!」





そう言って立ち上がり、座ってる私に手を差し出した。





か、肩の次は手ですか!?
もう、私は爆発寸前ですって!!





私は素直に手を差し出した。



『あ、ありがとう!』




野崎くんはそのまま歩きだす。






え!手は…このままですか!!


ヤバい。急に手汗が。
恥ずかしすぎる!!



野崎くんはさっきのイワシの話を熱く語っているが全く耳に入ってこない。



すると急に、

「絵梨子ちゃんって、すごくいい匂いするよね。って、俺なんか変態みたいだな(笑)なんか付けてんの??」



『え、あ、うん。ベルガモットの香りの香水!すごく気に入ってるの!』





「ベルガモットか!いいね。甘すぎず、可愛らしい匂い。俺も好きだな、その香り!」





『あ、ありがとう!』




やったーー!よかった、ローズにしてこなくてー!!







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