恋するLilyは嘘をつく。



「そういえば、絵梨子ちゃんって苗字はなんて言うの?」






み、苗字!


『…えっとー、田島だよ!』




あぁ。タジー、ごめん。
あなたのお名前お借りします。





「そうなんだ!アドレス帳変えとかないと!ちなみに俺は野崎ね!」





『そ、そうなんだ!野崎悠真くん!いい名前だね!』




「そう?初めて言われた(笑)
じゃあ、高校はどこ通ってんの??」







これはマズい質問だ。
なるべく遠くの高校を言おう。






『せ、清羽高校!』




「そうなの!けっこう遠くまで通ってんだね〜。」





『うん。でも、乗り換え一回で行けるしそうでもないかな。』








嘘に嘘を塗り重ねていく。
そうやって、自分を追い込んでいく。








ただ、少しでも一緒にいたい。
そんな私の身勝手な想いを守るために
野崎くんを騙している。





このままじゃいつまで経っても、本当のことは言えそうにないよ。



< 27 / 58 >

この作品をシェア

pagetop