恋するLilyは嘘をつく。
「そういえば、絵梨子ちゃんって苗字はなんて言うの?」
み、苗字!
『…えっとー、田島だよ!』
あぁ。タジー、ごめん。
あなたのお名前お借りします。
「そうなんだ!アドレス帳変えとかないと!ちなみに俺は野崎ね!」
『そ、そうなんだ!野崎悠真くん!いい名前だね!』
「そう?初めて言われた(笑)
じゃあ、高校はどこ通ってんの??」
これはマズい質問だ。
なるべく遠くの高校を言おう。
『せ、清羽高校!』
「そうなの!けっこう遠くまで通ってんだね〜。」
『うん。でも、乗り換え一回で行けるしそうでもないかな。』
嘘に嘘を塗り重ねていく。
そうやって、自分を追い込んでいく。
ただ、少しでも一緒にいたい。
そんな私の身勝手な想いを守るために
野崎くんを騙している。
このままじゃいつまで経っても、本当のことは言えそうにないよ。