恋するLilyは嘘をつく。



そして、やってきてしまった運命の昼休み。



教室に戻ってからというもの、隣の野崎くんが気になって気になって授業どころではなかった。





早めにお昼を食べ終えて、屋上へと向かう。向かう間もなんて言おうか、そればっかり考えていた。






カチャ




屋上のドアを開けると、もうそこに野崎くんはいた。
フェンスにもたれている。




『ごめん、遅くなって!』





「いや、こっちこそ急に呼び出したりして悪かったな。」




『そんな、全然大丈夫!びっくりしたけど!』



野崎くんは黙っている。









これは、もう自分から言うしかない!





『野崎くん、本当にごめっ』










そこまで言いかけたとき、









「…ん。」











野崎くんはポケットから小さな可愛らしい小瓶を出した。



私はそれを手に取る。





……香水?





『こ、これは?』


















すると、野崎くんはひと言こう言った。









「今の匂い、あんたには似合ってねぇよ。」




そして、屋上を出ていった。












え……?












その言葉は私をドン底に突き落とすには十分すぎた。











普通なら、好きな人からプレゼントを貰って喜ぶところ。







でも、今の私は全く喜べない。








だって、違う。
この香水の意味が私にはわかる。





簡単なことだ。


野崎くんは、梨々子から絵梨子と同じ匂いがするのが嫌なだけ。



それだけ私が嫌いなんだ。














クリスマスイブ、私は


大好きな人から


悲しすぎるプレゼントを貰った。









そして、その香水からは奇しくもローズの匂いがしたんだ。



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