恋するLilyは嘘をつく。
今日も駅でお別れだ。
『今日も本っ当に楽しかった!映画もよかったし!ありがとう!』
そう言った瞬間、野崎くんの顔が曇った。
そして、その時は突然訪れた。
「………あのさ、俺の連れに清羽に行ってるやつがいてた。そいつに言われたよ。田島絵梨子なんて女いないって。どこの学年にもね。」
え……。
「あんたさ、誰なの?」
『…………。』
私は突然のことにパニックになり、何も言えない。
そして野崎くんは今まで聴いたことのない低く冷たい声で、
「へぇ。…答えられないんだ。」
スッーーーーー
そう冷たく笑い、私の横をすり抜けていった。
私は遠ざかる背中を、引き止める言葉さえ見つからない。
いつかはこうなるってわかってたのに。
悪いのは全部自分なのに。
涙が止まらない。
私は冷たい雪が降る寒空の下、しばらくその場から動くことができなかった。