恋するLilyは嘘をつく。





電車の中で時間を確認する。


13時45分。


無理だ。間に合わない。




つーか、あいつメールしてくんのが遅すぎんだろ。







駅に着いて、全力で待ち合わせ場所へ走る。






はぁ……はぁ……





俺がイルカのオブジェの前に着いたのは、14時10分だった。





「はぁ…はぁ…。いねぇ……。」




辺りを見渡してもそれらしき人はいない。
てかあいつ、どっちの格好で来てんのかわかんねぇし。

あぁー!面倒くせぇやつ!







俺は水族館へと走りだした。




こんな広い館内にこの人の多さで見つかるのかよ。





俺は人混みをかき分けて、館内を探し回った。


「はぁ…、すみません…。」








シアタールームか?
上映が終わると同時に中を見て回った。しかし、いない。






飲食店、土産物屋、隈なく探し回ったが
見つからない。






どこいったんだよ!

ここだろうと思っていたアザラシの前のベンチにいなかったことにより、俺はかなり意気消沈していた。





……もう1回だけ、あのベンチに戻ってみよう。それでダメだったら。
もう、帰ろう。



< 51 / 58 >

この作品をシェア

pagetop