恋するLilyは嘘をつく。
「結局のところ、どっちが本当の名波梨々子なんだよ。」
え……それはもちろん…
『本当はギャルなんかじゃない。
…今、野崎くんが見てる私が、本当の私だよ!』
私はまっすぐ目を見て、強くそう言った。
「そっか。」
野崎くんは私の大好きな笑顔で笑った。
そして、
チュッ
私にキスをした。
それはそれは甘くて優しいキスだった。
「これで全部チャラにしてやるよ。
だから、言って?」
言うって何を……
私は少し考え込んだ。
きっとこれだ。
私の気持ちを精一杯伝えよう。
『野崎悠真くん、好きです。
……大好きです!!』
ふっ
「僕も名波梨々子さんが好きみたいです。」
そして、優しく笑って私を強くギュッと抱きしめた。
『ちょ、ちょっと、みたいって!』
「まぁまぁ、そんな細かいことは気にすんなって。……梨々子。」
えっ。
名前……名前!(泣)
「おい!泣くなよな(笑)
やべー。もう閉園だぞ。ほら!泣き止んで行くぞ!」
野崎くんは私の手を引き、歩き出した。
私は幸せを噛み締めながら、暖かい手の温もりを感じていた。