恋するLilyは嘘をつく。
〜2013年 3月〜
『えーん!どこだよ、高校ー!!』
無事高校に合格した私は、入学前の教科書配布やら制服の採寸をするあれに来ているのですが…
迷子なう。
超が付くほど方向音痴な私はさっきから同じ場所を行ったり来たりを繰り返している。
その上、寝坊して遅刻ギリギリという。
こんな大事な日に遅刻!?不良だと思われちゃうー!!←
『そんなに遠くないはずなのに〜。
はぁ〜。』
もう辿り着かないかもしれない!
入学取り消し!!?そんなぁーーー!
もうちょっと真っ直ぐ行ってみよう。。
トントン。
落胆していると背後から肩を叩かれた。
『はい?』
誰よ、こんな時に!私は急いでるの!
と思いながら振り返った。
すると、そこには…
……!!イ、イ、イケメーン♡♡♡
……って、こんな時にそんなこと思ってる場合じゃない!
「西校行くんですか?」
『は、はい!』
「だったら、戻ってあそこを左に曲がらないとですよ?」
『えぇ!!!( ゚д゚)』
そうなの!?そりゃ、、、辿り着かないわけだ。私としたことが!!
「アハハハ!」
ドキッ。
「俺も行くからさ!てか、急ごう!!遅刻しちゃう!」
『あ!はい!』
よ、よかったーーー!!!この人が神様に見えるー(泣)
しかし、オシャレだな。学ランの下にパーカー着てる。
ボタン全部ない。卒業式に取られたんだろうか?モテそうだもんなー。
さっきの笑った顔、可愛かったしな〜
なんて、まじまじと観察しながら走っていたら高校に到着した。
はぁ…はぁ…はぁ…
3分前ーーーー!!
もう、クラスが貼り出されてる掲示板の前には誰もいない。
「ギリギリ間に合ってよかった〜!」
『はぁ…はぁ…
本当に…ありがとうございます!!』
「いえいえ!えーっと…F組だ!
君は?」
『うーーんと……Aです!』
「そっか!違うクラスだ!じゃ、またね!教室までは迷わないようにね(笑)」
そう言って、爽やかな笑顔で手を振り去っていった。
残念!違うクラスか〜
ガラガラ。
教室に着いたらもちろんのこと、私以外は全員来ていた。
「ちょっと!梨々子ー!!寝坊して先行っててって言うし、なかなか来ないしで心配したんだからね!!!連絡ぐらいれなさいよ!」
『ごめん、芙由!もう、それどころじゃなくてさ〜』
そんな話をしていたら、担任の先生らしき人が入ってきた。
うん。優しそうな、先生!
何より、親友の芙由と一緒のクラスで本当によかったー!!
さっきの子はF組って言ってたな。
昇降口挟んで逆側じゃーん。
遠いなー。
てかよくよく考えたら、さっき彼は曲がるべきところを通り過ぎてわざわざ私に声をかけに来てくれたってことだよね。
…なんていい人なのーーー!!!(泣)
もう1度ちゃんとお礼を言わないと!
そのことで頭がいっぱいでその後の先生の話なんて全く耳に入ってこなかった。
どうしてもお礼が言いたくて、帰りに芙由も巻き込んで探し回った。
けど彼を見つけることはできなくて…
その日はお礼が言えなかった。
学校が始まってから!と思ってたんだけど、1年間見つからなかった。
もちろんF組だって覗きに行ったけど、それらしき人は見当たらなかった。
どうして名前聞かなかったんだろう。