跡にも咲にも




廉くんはもう1人前の弁護士になってバリバリ働いているから、疲れて帰ってくる廉くんにリラックスしてもらうために私は毎日家事という任務を頑張っている。



私は誰もいない静かなリビングで「うーん」と伸びをしてテーブルに突っ伏した。









プルルルルルルル。



いつの間にか寝てしまった。


ケータイの音で目が覚める。


テーブルに突っ伏していたおかげで背中が痛い。


私は肩をまわしながらエプロンのポケットに入っているケータイを取り出した。


画面には“二階堂菜桜子”の文字。



ボタンを押して電話に出た。



『もっしもーし』


電話の向こうの菜桜子はいつでもハイテンションだ。


「もしもし、どうしたの?」


『あのね、突然でびっくりすると思うだけど』


「うん?」


『あたし、子どもできた!』


「え!ほんとに!?」



私は座っていた椅子から思わず立ち上がった。
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