跡にも咲にも
それはそれは端正なお顔立ちでございます。
きれいな鼻筋に、整った顔。
目は切れ長で漆黒の目が何とも言えない。
健康的な唇は本当に目がくらんでしまう。
この人が私の愛する旦那さん、三木廉(みきれん)くんです。
私はむふふと笑って朝一番の彼を堪能した。
もうすぐ起きる時間なのでそんなに長い時間見てはいられない。
少し惜しい気持ちを押し込めて私は廉くんの耳元に近づいた。
「廉くーん、朝だよー。起きてー」
いつものように声をかけるが、少しだけ動いて再び寝息を立て始める。
「廉くーん、起きないと遅刻しちゃうよー」
これにも反応はない。
「廉くーん、起きないと…ちゅーするよ」
その瞬間彼はパチッと目を開けた。
そしてすぐ横にいる私を見る。
「おはよ、廉くん」
にこにこしながら朝の挨拶をすると彼はもう一度目を閉じた
「…そんなにニコニコされると気持ち悪い」と悪態とつく。