仔犬男子の反乱

どうしてこんなところに?

しかも、“あの”拓海くんが、そんな技を?


力とは無縁。

いつだってポワーンとしている能天気な拓海くんらしからぬ行動を目の当たりにして、立ちつくしてしまった。


「な、何なんだよ、お前は!」


抵抗を見せる男に、尚も腕をねじ上げる。


「イッテーッ!」

「どうする? このままだと腕がやばい事になるかもしれないけど」


いつもの温和な笑顔はどこへやら。

拓海くんは厳しい表情をして男の横顔を見下ろしていた。


「わ、分かったから、分かったって!」


観念した男は拓海くんから解放されると


「お前っ、覚えてろよ!」


捨て台詞を吐いて去ったのだった。
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