仔犬男子の反乱

「大丈夫だった?」


拓海くんが私の体を目視で調べる。


「……大丈夫よ」

「よかったぁ」


心配顔が一転いつもの笑顔に戻る。


「……どうしてここに?」


拓海くんは道路を隔てた前のビルを指差した。


「ボランティアで教えてるんだ」


……“空手教室”?

ビルの2階にある大きな窓には、そう書いてあったのだ。


へぇ、空手。



――空手!?
拓海くんが、空手!?
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