仔犬男子の反乱
「ここまで来れば安心ですね。それじゃ、おやすみなさい」
「……おやすみ」
あっさり背を向けて、あっという間に角を曲がって見えなくなった。
……ふーん。
帰るんだ。
こういうところがダメなのよ。
男だったら、少しくらい強引にすればいいのに。
……といって、部屋に上がりたいと言われても、オッケーするはずもないけれど。
とっくに姿の見えなくなった曲がり角に向けて、大きく“あっかんべー”と舌を出した。